流山児祥オフィシャルブログ『祥 MUST GO ON!』

公演情報
楽塾創立20周年記念公演
『すももももももモモのうち』


【作】佃典彦
【演出】流山児祥
【出演】
〈楽塾〉
いそちゆき 河内千春 川本かず子 桐原三枝 阪口美由紀 佐野眞一 関口有子 高野あっこ 辻洋子 内藤美津枝 二階堂まり 西川みち子 平山郁子 みかわななえ 村田泉 めぐろあや
〈流山児★事務所〉
流山児祥 柏倉太郎 山下直哉 森諒介 星美咲 橋口佳奈 竹本優希

【日程】
2017年5月3日(水・祝)〜6日(土)

【会場】座・高円寺2(東京都)

【チケット】
指定席(一般) 3,500円ほか
3月3日(金)より発売

【お問合わせ】
流山児★事務所
TEL:03-5272-1785(平日13時〜17時)
E-MAIL:mail@ryuzanji.com


だいこん・珍奇なゴドー
だいこん・珍奇なゴドー



【作】戌井昭人
【演出】流山児祥
【音楽】栗木健
【振付】北村真実
【出演】
塩野谷正幸、佃典彦、伊藤弘子、月船さらら、山崎薫、栗原茂、谷宗和、大久保鷹、土井通肇
佐藤華子、里美和彦、冨澤力、柏倉太郎、平野直美、星美咲、橋口佳奈
演奏/栗木健、諏訪創

【日程】
2017年3月15日(水)〜22日(水)

【会場】ザ・スズナリ(東京都)

【チケット】
指定席(一般) 4,000円

公演詳細はこちら
流山児★事務所
2017年度新人募集
《二次募集》
劇団で活動することに興味がある人を募集します。

【募集人員】
6名 (俳優・スタッフ・制作)
18歳以上35歳未満。
国籍不問。心身ともに健康な男女

【第一次審査:書類選考】
以下を流山児★事務所まで郵送してください。
(1)履歴書(連絡のつく電話番号とメールアドレスを記載のこと)
(2)写真1点(バストアップ)
(3)作文「流山児★事務所に入団してやりたいこと」(400字程度)
応募〆切:2017年4月5日(水)必着

【第二次審査:実技・面接】
書類選考通過者のみ、連絡いたします。
審査日:2017年4月8日(土)午前
※実技審査料3,000円は当日持参のこと。
※スタッフ・制作は面接のみ(無料)です。

【入団後の活動】
流山児★事務所の活動に準じていただきます。
優秀な新人は劇団公演、海外公演などに参加できます。

【入団後の費用】
(1)入団金:50,000円
(2)研修費+稽古場維持費:月額10,000円(月納)
※入団1年後には稽古場維持費:月額5,000円のみとなります。

【お問合せ・応募先】
流山児★事務所 新人募集係
〒162-0045 東京都新宿区馬場下町60番地 まんしょん早稲田307
TEL:03-5272-1785(平日13時〜17時)
E-MAIL:mail@ryuzanji.com
CD/DVDを買う
続オールド・バンチ〜復讐のヒットパレード!〜 DVD

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演劇評論家:江森盛夫氏の「プラモラル」劇評も。
BY「演劇袋」

 ソートーン・ワイルダーの「わが町」のような裸舞台での、もともとの地付きの住民と移住者との目の見えない軋轢が、こどもたちを含めて、このどこともしれない日本の「ある町」で生起する・・。

その町の有力者を寺十吾、若杉宏二、移住者を下総源太朗と芸達者が演じ、対する女優陣は青木砂織、坂井香奈美以下6人が親と小学生を演じ分けえる・・。

芝居をまわすのは、名古屋の佃の主宰する劇団「B級遊撃隊」の吉村公佑と佃自身・・。冒頭で起こる正体不明の殺人が、最後まで死体遺棄のまま片隅で放置されていたり、案内者の吉村が身元不確かだったりで、「作者を探すピランデルロ」風の趣もある芝居だった・・。
2013-07-30 09:49 この記事だけ表示
いっちの「舞台大好き」に素敵な感想が。

寺山修司、唐十郎、三島由紀夫、北村想、長谷川伸に柴幸男、歌舞伎作品からツービートの漫才まで(笑)…様々な作品が大胆にコラージュされているにもかかわらず、話が1つになっている不思議な物語。

そんな不思議な物語を流山児★事務所の若手5人(+客演の山下修吾さん)は、若さあふれるパワー全開で縦横無尽に舞台の上を飛び回っていました。

宮川安利さんの歌とダンス、五島三四郎さんや鈴木麻名実さんの芝居心溢れる演技…みんな得意分野で生き生きと躍動。
この3人はあまりに素晴らしすぎて…新人公演の域を越えてました…格が違いすぎた…でもまだ入団4年目以内の若手だってんだからびっくり!
この3人は、これから先どんどん本公演でもいい役に恵まれたらますますいい役者さんになるんじゃないかな。

そして今回新人初お披露目となった2013年4月入団の2人、佐原由美さんと艶嬢さとみさんも頑張ってました!!
佐原さんは点子@艶嬢さんのために男装をしてパパ役をする女性(←実は夫を殺した殺人犯)という難しい役どころでしたが、荒削りながら芝居の間とか台詞回しがうまいなと。
艶嬢さんは初舞台で緊張したのかちょっとセリフに力が入りすぎてた感じも見受けられたけど、場数を踏むにしたがって慣れていくと思います。

流山児★事務所、生きのいい新人さん達が加入して今後がますます楽しみになりました\(^o^)/!!


2013-07-30 09:15 この記事だけ表示
プラモラルの「劇評」が。
BY今村修氏

昨夜は、スズナリで「プラモラル」(作・演出=佃典彦)。今の社会をグロテスクにカリカチュアライズした、救いのない群像劇だ。敢えてジャンル分けすれば「コメディー」になるのだろうか。悲惨すぎて笑うしかない、という意味で。

何もない舞台に男1が登場し、ワイルダーの「わが町」に引用しながら町を語っているうち、唐突な殺人事件を目撃する。住民から町民センター職員と名付けられて、ドラマの中に取り込まれた男は、モラルを声高に語る住民たちが次々に巻き起こすモラルハザードを目撃していく。

コミュニティーの崩壊、新旧住民の対立、いじめ、年金不正受給、ドメスティックバイオレンス、モンスターペアレンツ、ネトウヨ的言辞、不倫、引きこもり、同調圧力……。ありとあらゆる現代の歪みが、これでもかとぶちまけられる。そして、壊れ、生活者としての仮面をはぎ取った住民たちは、相次いで犯罪に走り、その果てに男1の正体も明らかになる。みんながアンモラルであることによる連帯感、安心感。それによって闇のコミュニティーが復活したように見えるラストシーンに身の毛がよだつ。

この公演は、日本劇団協議会による「日本の演劇人を育てるプロジェクト/新進演劇人育成公演俳優部門」という長たらしい企画。吉村公佑、坂井香奈美ら育成対象の若手が大役を担い、寺十吾、若杉宏二、下総源太朗、青木砂織、麻乃佳世といった中堅が脇を固める。

役者の個性が楽しめる舞台だが、一方でやや散らかっても見える。ドラマに軸がしっかり見えてくれば、さらに怖い舞台になるのではないだろうか、とちょっと欲張ってみたくなった。(敬称略)
2013-07-29 23:31 この記事だけ表示
日刊ゲンダイの山田勝仁氏の「プラモラル」劇評が出た。

スズナリで日本劇団協議会・日本の演劇人を育てるプロジェクト「プラモラル」。悪意がループする佃典彦版「わが町」。

 何もない素舞台に男1が登場し、突然の殺人を目撃。

 そこに小学校PTAの見回り隊が通りかかる。最初は不審者として難詰される男1(吉村公佑)はPTAの一人のあやふやな証言で地域コミュニティセンターの職員として「認識」される。
... この町では過去に少女殺人事件があり犯人はいまだ不明。一方、昔からの「原住民」と新参の移住者の対立、確執が激化。
 町内会の有力者やら右翼っぽい言辞を吐く教師らを巻き込んで陰口、不信、ウソ、犯罪……と佃典彦得意の不条理な悪夢の連鎖が町を混沌の渦に叩き込んでいく。まるで赤塚不二夫が一時期描いた不条理ギャグマンガのようでもある。プラモラルとのタイトルはプラスチック製のモラルの意味?

 やたらとモラルを強制する登場人物たちが救いようのない蟻地獄のようなモラルハザードを引き起こして、恬として恥じないのは世相の反映か。登場人物はみーんなオカシな人間。異常と正常のあわいが見えなくなっている。それも今の日本そのもの。

 若杉宏二、寺十吾、下総源太朗のベテラン勢のコクのある芝居に木暮拓矢、青木砂織が寄り添い、平手舞、坂井香奈美、山丸莉奈ら育成新人たちが伍して闘う。ハードルは高いが新人育成にふさわしい舞台。
2013-07-26 10:11 この記事だけ表示
長文の劇評です。 「小劇場レビューマガジンWONDERLAND」2013年4月17日


◎だれが日本を盗むのか 〜 鼠小僧が消えた闇の今〜  新野守広

 流山児★事務所が『義賊☆鼠小僧次郎吉』を上演した。安政の大地震からわずか1年2ヵ月ほど後の1857年、江戸市村座の正月興行で上演された河竹黙阿弥の『鼠小紋東君新形(ねずみこもんはるのしんがた)』が原作である。東日本大震災から2年が経ったこの時期に江戸末期の泥棒芝居が選ばれた背景には、崩壊する幕藩体制と現在の日本社会の混迷を重ねる意図があったと思う。

 公演会場は流山児★事務所の拠点、Space早稲田。地下空間の北と東の壁際に椅子席を並べ、南と西が正方形の舞台の二辺になるように演技の場が設えられている。さらに椅子席の列の間にも俳優が通る通路があり、俳優たちは縦横に走り回る。劇団ホームページには90uと示されているが、この狭い空間にこれだけの客席と演技スペースをつくりあげた情熱に感嘆。登場する12人の俳優が演じる役は、解説役も入れると28役。一人二役や三役は当たり前。密集と離散を繰り返す俳優たちのスピード感溢れる動きがリズムを生む。

 舞台の特徴は、誇張とデフォルメの大胆さにある。黙阿弥の原作を丁寧に上演すると、半日はかかるに違いない。その一大長編を1時間50分におさめてしまった(脚本:西沢栄治)。台詞は大胆にカットされ、物語の主筋からはずれる脇筋には削られたものもある。鼠小僧が盗みに入る場面は、速攻の人形劇である。原作の床浄瑠璃は、ロック調やポップス調の曲に作り直され、合唱、独唱、二重唱で歌い出される(音楽:諏訪創)。江戸時代の町人社会の義理や人情をしみじみと描いた世話物の世界から、現代の大衆社会にかなう表現を生み出す工夫だろう。

 台詞を口語調に直し、浄瑠璃を現代風の音楽に置き換える演出は、宇崎竜堂が音楽を担当し自らも出演した映画『曽根崎心中』(1978年。監督:増村保造)など例がある。『花札伝綺』や『ユーリンタウン』をはじめとして、数々の音楽劇を手掛けてきた流山児★事務所にとって、黙阿弥の『鼠小紋東君新形』を音楽劇仕立てで上演するのは自然な流れだったに違いない。

 大胆に改変された流山児版『鼠小僧』は、黙阿弥の『鼠小紋』に立ち戻ろうとするものではない。むしろ黙阿弥の意図を斟酌しながら、黙阿弥から遠く離れた今を撃てるか、その可能性に賭けた舞台だと感じた。

1. 現代化された音楽劇

 捨て子の生い立ちを陰ある表情に垣間見せる稲葉幸蔵(上田和弘)、悪と強欲の権化が一転情けある心根をさとらすお熊(甲津拓平)、一分の隙も見せない気丈な後家お高(神在ひろみ)、軽薄な悪役に徹するイワヲの平岡権内など、狭い空間に溢れる個性的な俳優たちは、いくつもの役を掛け持ちする。全体に誇張された劇画的な印象があるが、これは俳優たちが広い劇場でも十分通用する声量と所作にもかかわらず、客の目と鼻の先で演じているためかもしれない。劇団主宰の流山児祥も登場し、いつもながらの落ち着いた存在感と軽妙なとぼけ味で解説役と薬売り山井養仙役を好演した。

 流山児版『鼠小僧』では、すべての台詞が口語に書き直されているわけではない。黙阿弥の文語調の言葉を生かしながら、全体として耳で聞いてわかる程度に口語調に直しているに過ぎない。ただその結果、舞台で交わされる会話は江戸時代のものでもなく、かといって現代のものでもない曖昧なものになった。この曖昧さは舞台の疾走感の源でもあるが、黙阿弥の世話物が描いた江戸町人社会の情感が無情にも切り捨てられてしまったと嘆く観客もいてもおかしくはない。

 その一方、全体が休憩なしの2時間弱で一気に見られたため、稲葉幸蔵、すなわち盗賊鼠小僧の周囲の人間関係を細い糸でつなぐ黙阿弥の才気が鮮やかに伝わった。幸蔵の育ての母であるお熊が計画した百両の騙りに引っかかった新助とお元。二人が心中するところへ通りがかった幸蔵が情けで盗んだ百両には極印があり、新助とお元は捕えられる。一方、百両を盗まれた屋敷の辻番與惣兵衛は捕えられ、息子與之助は父のため百両の盗みに入った両替商若菜屋で捕えられる。さらに與之助を守るため嘘をついた若菜屋の後家お高も捕えられる。すべてを知った幸蔵は皆を救うため自ら問注所に名乗り出て裁きを受ける。善意から出た百両の盗みが、幸蔵と彼を取り巻く人々の本当の関係を明らかにするのだが、実にこれら主な登場人物たちは、たった一つの家族とその親戚一同なのだ。渡辺保は次のように書いている。

(…)幸蔵を包囲した人々の関係は、すでにふれた通り全員一つの「家族」であり、幸蔵の犯罪は、その「家族」を助けるための善意から出ているのである。
 黙阿弥は、この事実こそ書きたかったに違いないのであり、本来の悪とは無縁なのである。幸蔵の周囲に集まった人々、幸蔵を責めたてる人々の存在は、ひたすら幸蔵の悪を際立たせるのではなく、幸蔵における悪の欠如を際立たせるためにのみ存在している。
(渡辺保『黙阿弥と明治維新』岩波現代文庫160頁)
このような「義賊」のテーマは興味深い。盗賊鼠小僧次郎吉が義賊であるのは、なにも裕福な大名屋敷を専門にする盗人であるからだけではない。鼠小僧はむしろ善意の人であり、善意から行なう行為が「悪」を生み出し、彼の周囲の人々を犯罪に巻き込んでしまうのだ。渡辺保はこれを、「現実的な『悪』の空洞化、すなわち『悪』の境界のあいまいさ」と呼び、このあいまいさこそが江戸末期の人々の倫理観であり、秩序の崩壊を示していると結論づけている。

2. 闇に生まれる義賊:だれが日本を盗むのか

 舞台の最後の場面に注目してみよう。黙阿弥の原作では、問注所に出頭した幸蔵が縄を抜け、追っ手を振り切り逃亡するところへ早瀬彌十郎という善玉の役人が現れ、雪洞(ぼんぼり)を掲げながら幸蔵の姿を透かし見る。そして「落ち行く影は、取逃せしか。」と語りかけ、雪洞を吹き消して幸蔵を逃がす。幸蔵は「かたじけない」と彌十郎に手を合わせる。ここでおそらく舞台は闇になり、幸蔵は降りしきる雪と闇に溶け込むように逃げていくという設定である。

 流山児版『鼠小僧』は、この闇に言葉を与えて、次のようにメッセージ性を持たせている。

早瀬  鼠、これからどこへゆく?(ト雪洞を上げる)
幸蔵  あの大江戸の闇の闇!
早瀬  幕末の世を揺るがす「義賊☆鼠小僧」を、早瀬彌十郎、取逃せしか、ふ、は、は、は、は。(ト雪洞を吹き消す)
幸蔵  義賊?そうか、おれは、これから「義賊」になるのか。そいつぁおもしれえや。む、ははははは!                       
(流山児★事務所『義賊☆鼠小僧次郎吉』上演台本より)

流山児版では、幸蔵の消えた先は崩壊する秩序の闇そのものであることが明確に語られる。しかも幸蔵の台詞は、秩序の崩壊から義賊が生まれるというメッセージになっている。このメッセージを伝えるところに、流山児版『鼠小僧』の可能性が賭けられているのだ。

 実際の舞台では、この台詞の直後、俳優たちは衣装を脱ぎ、Tシャツ姿になると一斉に舞台上に立ち、客席をきっと見据えて、騒然としたノイズと「ええじゃないか」の掛け声が響くなか、次の台詞を和した。

子の刻参上! 盗みはすれど仁義を守り、富めるを貪り、貧しきを救うは、天の道なり! いまこそ盗まん、いまこそぬすまーん。
(同上)
すなわち、舞台上に立つ俳優たちこそが「義賊」である。俳優たちは3.11を体験した現在の日本社会の崩れゆく秩序のただなかに立ち、義賊として活動を始めるのだ。義賊の宣言である。観客を見据えて「いまこそ盗まん、いまこそぬすまーん」と宣言する彼らは、これから日本を舞台に白昼堂々と始まるであろう大窃盗劇を予言している。

 だれが何をどのように盗むというのか。

 渡辺保は黙阿弥の『鼠小紋』について、「『日本』を盗むものは、外国だろうか、西国大名だろうか、天皇だろうか」(『黙阿弥と明治維新』167頁)と書いた。すでに西国大名と天皇は日本を盗んでしまった。外国もしかりだが、まだ半ば盗みの途上にある。今後、外国が日本を盗む事態が完成する。TPP、原発再稼働……。流山児★事務所の『義賊☆鼠小僧次郎吉』は、これから私たちの身に降りかかる不幸な未来の闇をあぶり出したのではないか。

【筆者略歴】
 新野守広(にいの・もりひろ)
 1958年神奈川県生まれ。東京大学文学部卒。立教大学教授。現代ドイツ演劇専攻。「シアターアーツ」編集委員。主な著書「演劇都市ベルリン」、主な訳書「ポストドラマ演劇」「火の顔」「餌食としての都市」「崩れたバランス」「最後の炎」など。

2013-04-28 11:29 この記事だけ表示

WONDERLANDに続いて長文の「地球☆空洞説」の劇評が文芸誌に掲載されている。


野平昭和「劇評:2012年秋から冬の舞台」 BY季刊文芸誌「文藝軌道」2013年4月号

 寺山修司没後30年を迎え、豊島区・としま未来文化財団との共催で流山児★事務所がテラヤマプロジェクトという形で区制80周年記念事業として来年11月まで計3回の上演計画展開の第1回である。
 もともとテラヤマ芝居は俗な意味でのストーリー展開を拒否するところがあり、更に言えば夢(多くの場合は悪夢だが)に似ており、芸術ジャンルの中で敢えて仕分けすれば「詩」である。
 1973年に「市街劇」として上演されたものを装いをあらたにイマ風に仕立て直し、却って寺山劇の神髄に迫ったものにさえ思えたのだ。
 中池袋公園に集められた観客は、大久保鷹、流山児祥というアングラ劇の元祖のような2人の口上と、多数の出演者の歌の案内で、今ではクラッシックな建築の豊島公会堂に入ることになる。空洞学者2人(大久保鷹、流山児祥)の珍妙な問答の中に登場した男(塩野谷正幸)が、銭湯から自分の住んでいるアパートへ戻ってみると、自分の室には見知らぬ人々がいて煎餅をかじっていたりテレビを見たりしているのだった。よく見れば自分が住んでいた15号室さえどこにもないのだ。仕方がないからアソコへ行くしかないと、彷徨いだした男の行く先が舞台に展開してゆくことになる。
 そこは「亜細亜の曙」の歌われる曲馬団の世界であり、工場であり、夕暮れの公園であり、非現実の記憶の世界であり、地球上のどこかであり、どこでもないところなのだ。
 「地球はもうじきおしまいだ」の歌が繰り返され「裸銭湯桶ダンス」に象徴される思考停止の巨大群衆(実際でも50人を越える)の男女が足踏み鳴らし、声をからして歌い踊るシーンが繰り返し増幅される中を呪文のように「地球の中味はカラッポだ」と鋭い刃物の言葉が打ち込まれ「オマエはオレだ」と迫られ、フラフラになった観客に「地球はもうじきおしまいだ」の大合唱轟く中を場外に退去した観客の上空に気球が上がるという仕掛けである。

 敗戦後まで東北の僻地などに残存していた土俗的なにおいを故意に舞台に展開してみせながら日本を、世界を、ヒトを、地球を問い続けてた寺山修司が土俗のにおいを消して無機質でピカピカの50人を越える役者群のセリフに踊りに歌にヒロシマ、ナガサキでなく自らの手で原子の火を放ちヒト、生物、地球絶滅の放射能を撒き散らしてしまった大震災後の世界を、青森から三沢から東京から30年の時空を越えて「地球はもうじきおしまいだ」と唇を歪めながら皮肉な薄笑いを浮かべて一緒に気球を見上げてさえいる姿を重ねて池袋を後にした。
2013-04-28 10:57 この記事だけ表示
流山児★事務所3月公演『義賊☆鼠小僧次郎吉』の長大な「劇評」が小劇場レビューマガジンWONDERLANDに掲載されています。是非読んで下さい。

演劇評論家:新野守広氏の力作です。

ワンダーランド:◇流山児★事務所「義賊☆鼠小僧次郎吉」
◎だれが日本を盗むのか ─ 鼠小僧が消えた闇の今 新野守広 
http://wonderlands.jp/?p=23367

2013-04-18 15:26 この記事だけ表示
演劇雑誌「テアトロ」2013年5月号に以下のように2月@Space早稲田公演『リバーサル』(大塩哲史:作 小林七緒:演出)、3月@Space早稲田公演『義賊☆鼠小僧次郎吉』(河竹黙阿弥:作 西沢栄治:脚本 流山児祥:演出)の「劇評」が掲載された。

巻頭リレー「劇評」 BY渡辺保
「2月のベストスリーは以下の通り。一、大塩哲史の『リバーサル』」
2月に入る直前、Space早稲田で大塩哲史の『リバーサル』を見た。
ある会社の娘の誘拐事件。休憩なしの1時間半の間、その意外な展開に私はほとんど手に汗握る思いであった。サスペンスだから結末にふれるわけにはいかないが、どんでん返しにつぐどんでん返し、しかもそこには単なる舞台技巧ではなく、人間模様も現代社会への批判の眼も光っている。
私は全く初めて見る作者に感心した。その構成力、そのドラマの展開の仕方、その人間を描く目が優れているからである。

小林七緒の演出も、狭い地下の小劇場の空間をうまく使って事件の局面を緊密に構成していい。
新しい劇作家、演出家の登場といっていいだろう。

「劇評」     BY浦崎浩實 
「力作を立て続けに観た。」
流山児★事務所『義賊☆鼠小僧次郎吉』@Space早稲田は黙阿弥『鼠小紋東君新形』(ねずみこもん はるのしんがた)のほぼ”通し”。序幕その他、適宜つまんであるが、台詞も原曲に忠実のようで、チョボの部分も役者たちが旋律に乗せて歌い踊る(音楽作曲:諏訪創)。

古風な台詞が速射砲のように、かつ明快に語られ、客席も舞台に組み込まれて狭い空間をぐるぐる、流汗リンリと奮闘する役者たち、アッというまの1時間45分。芝居の不思議さ。
2013-04-16 18:17 この記事だけ表示
月蝕歌劇団主宰、劇作家:高取英氏の「劇評」

「土曜日に、流山児事務所の鼠小僧次郎吉を見た。元は黙阿弥の歌舞伎。これがハチャメチャでシリアスで楽しかった。人形劇になったときは、紙人形が落書きみたいで、唖然としたが、これが工夫されていて、キッチュで素晴らしいと、すぐに、理解できた。

三太役の佐藤華子のアホっぷりがさいこー。素晴らしいです。彼女は、盲目の花魁もやり、最初わからなかった。

後家の神在ひろみも、よかった。彼女と阿萬由美が歌うところは、恍惚となった。他の役者もハチャメチャでよかったよ。流山児さんがアホになるところも面白かった。こんな芝居みたことない。

流山児事務所で一番いい、と、流山児さんにいうと、あきれられたが、本当だ。
芝居は、また見たいとは、思うことは、ほとんどないが、また見たい。」
2013-03-25 14:04 この記事だけ表示
以下の様なブログ評も。BY 本とお芝居があればオジサンのブログ。

☆☆ このお芝居、観劇を強くお薦めします ☆☆
上演中のお芝居ですので、以下、箇条書きといたします。

(1)
未曾有の安政大地震の 2 年後である1857年に江戸市村座で上演された 「鼠小紋東君新形 (ねずみこもんはるのしんがた) 」 (河竹黙阿弥原作) を、ほぼ忠実に 「3.11.」後の東京に持ってきた、痛快スーパー歌舞伎です(≧▽≦)。
(2)
言うまでもなく、義賊と称せられた鼠小僧次郎吉の物語を、人情と刃傷の両面をバランス良く、そして、小気味よく切り取って見せてくれる活劇です(≧▽≦)
(3)
役者が発するアドリブとそれに呼応するお客の反応、役者の汗が降りかかり、弾む息づかいをダイレクトに感じることができる、地下小劇場にしつらえた変形舞台と花道。

これこそ、元々はカブくヤツらの演芸だった歌舞伎の原点を、五臓六腑 (ごぞうろっぷ) で感得できる、ブラボーな舞台です(≧▽≦)まあ、とにかく、「 Space 早稲田に Go !」 です(*゜▽゜ノノ゛☆




2013-03-24 10:42 この記事だけ表示